ブランドジャーナリズムとは何か——「広告を出す」から「自社で発信する」への転換
最近、「ブランドジャーナリズム」という言葉を耳にする機会が少しずつ増えてきたように感じます。このページのタイトルでもある「JOURNAL(ジャーナル)」とも関わりの深い考え方なので、今回は私なりに整理してみたいと思います。
ブランドジャーナリズムとは、どのような考え方か
ひとことで言うと、「企業自身がメディアとなり、報道機関のような姿勢で情報を発信していく」という考え方です。商品やサービスを直接すすめるのではなく、自社の活動や考え方を、事実と背景を丁寧に伝える記事として発信します。単なる宣伝ではなく、読む人の役に立つ情報や、信頼を築くストーリーを届けようとする点が、通常の宣伝とは大きく違うところです。
「CMを流す」から「自分たちで新聞をつくる」へ
これまでの広告は、誰かの番組や雑誌の枠を借りて、その中で自社の情報を届けてもらうようなものでした。枠を持っているのはテレビ局や雑誌社で、企業はそこにお金を払ってその場所を借りていたわけです。一方でブランドジャーナリズムは、自分たちで小さな新聞社を持つようなものだと考えています。自分たち取材をして、記事を書いて、読者に直接届ける。枠を借りる必要がなく、伝えたいことを、伝えたい形で、伝えたいタイミングで発信できます。ただし、新聞社がそうであるように、読み続けてもらえる記事を、責任を持って書き続ける姿勢も必要になります。
なぜ、いま注目されているのか
日本で「ブランドジャーナリズム」という言葉が一気に広まったきっかけの一つが、トヨタ自動車の「トヨタイムズ」だと言われています。2019年、当時社長だった豊田章男氏の発案で始まりました。「ニュースでは伝わりにくい自分の思いが、ラジオ番組では伝わった」という実体験がきっかけだったとされています。自動車メーカーから「モビリティカンパニー」への転換を掘げるなかで、社内報を社内だけで回覧するのではなく、社外にも開いていく方針に転換しました。俳優の香川照之さんが「編集長」という設定で豊田社長や社員にインタビューする形式をとり、ウェブとテレビCMを連動させて展開しています。春闘の労使交渉の過程を複数回にわたって公開するなど、これまで社外には見せてこなかった場面にも踏み込んでいます。トヨタほどの規模でなくても、「自社の判断や思いを、自分たちの言葉で、継続的に語る」という姿勢そのものは、どんな会社でも参考にできる部分だと思います。
CxD Branding Studioが、JOURNALで実践していること
CONCEPTページでお伝えしているとおり、ブランドとは「選ばれる理由」を一貫して伝え続けることだと考えています。このJOURNALも、単発の宣伝記事を並べる場ではなく、実務に即した考え方を継続して発信する場として運営しています。実際に、継続的な発信を通じてブランド化につなげた事例はCASEページでもご紹介しています。発信を仕組み化し、組織の取り組みそのものを変えていくプロセスは、コミュニケーション設計やPR活動支援としてご支援している領域でもあります。
自社でも始められるのか?小さな一歩から
「うちの会社には書くようなことがない」と感じる方もいるかもしれません。ただ、ブランドジャーナリズムは、大きな広報部がなければ始められないものではありません。日々の仕事の中にある小さな出来事や判断の理由を、記録し、言葉にし紡いでいくところから始められます。社長が大切にしている考え方を文章にする。現場で起きた工夫やお客様とのやり取りを記録する。そうした積み重ねが、やがて「この会社らしい発信」になっていきます。
まずは、発信の軸を一緒に整理するところから
何から発信すればよいか迷う場合は、一人で抱え込まず、一度整理するところから始めてみませんか。私自身も、PR会社での実務を通じて、企業の発信を戦略立案から実行まで一貫して支援してきましたし、現在もお手伝いしています。
