広報は内製化すべきか? 外部に任せるべきか?
「広報を内製化すべきか、それとも外部に任せるべきか」——この問いは、多くの経営者が一度は立ち止まって考えるテーマです。しかし、結論から言えば、この問いの立て方自体に落とし穴があると思っています。
「内製か外部か」という二択で考えるとつまずく
内製化を選ぶ企業の多くは「コストを抑えたい」「スピードを持ちたい」という理由から出発します。外部委託を選ぶ企業の多くは「専門性がない」「手が回らない」という理由から出発します。どちらの動機も間違ってはいませんが、この二択で意思決定をすると、後になって「思っていたのと違った」という結果に陥りやすくなります。
なぜなら、広報活動には性質の異なる複数の機能が混在しているからです。
●戦略設計:何を、誰に、どう伝えるかという骨格をつくる機能
●実務運用:プレスリリース作成、メディアリレーション、SNS運用などの日々の実行機能
●一次情報の発信:経営者や現場の言葉を、生の熱量のまま外に出す機能
この3つを同じ「広報」という言葉でひとくくりにしたまま内製・外部を議論すると、判断を誤ります。実際には、機能ごとに向き不向きが分かれているのです。
内製化が機能する条件
内製化がうまくいく会社には、共通する以下の条件があります
経営者自身が発信の当事者になれること。
広報は本来、経営者や事業責任者が語ることそのものが情報の価値を持ちます。担当者に「代弁」させる体制では、発信のたびに熱量が薄まっていきます。
継続する体力があること。
週次・月次で発信を止めない仕組み——ネタ出し、レビュー、公開のサイクルを回せる人員と時間が必要です。片手間で始めた内製広報が短期間で機能不全をおこすことは珍しくありません。
社内に「編集者」がいること。
現場の情報を、外部の読み手にとって意味のある形に翻訳する役割です。この機能を欠いたまま内製化すると、発信内容が社内向けの報告のようになり、外部には全く響かなくなります。
裏を返せば、この3条件のどれかが欠けている状態での内製化は、遠回りになる可能性が高いということになります。
外部パートナーが機能する条件
一方で、外部に任せることが合理的なのは、次のような場合です。
●ブランドの骨格(何を、誰に、どう伝えるか)がまだ言語化されていない
●経営者が発信の重要性は理解しているが、時間を割けない
●一定期間で立ち上げの型をつくり、将来的には内製に移行したい
ここで注意したいのは、「外部に任せる」ことと「丸投げする」ことは違うという点です。外部パートナーが戦略設計を担っても、一次情報の発信主体は経営者や現場である必要があります。この役割分担を曖昧にしたまま契約すると、外部委託は「代筆業」になり、発信の質は上がっても、ブランドとしての一貫性は育ちません。
多くの企業が陥る失敗パターン
これまで数多くの企業のブランディングに関わる中で、内製・外部を問わず繰り返し見られる失敗があります。
戦略なきまま実務だけを内製化・外部化する。
何を伝えるべきかが定まらないまま、プレスリリースの本数やSNSの更新頻度といった「量」の議論に終始してしまうケースです。量を追う前に、伝えるべき軸が定まっているかを確認する必要があります。
内製と外部を混在させたまま責任の所在を曖昧にする。
戦略は外部、実務は内製、という体制自体は珍しくありませんが、誰が最終的にメッセージの一貫性に責任を持つのかを決めておかないと、発信のたびにトーンがぶれます。
判断のための3つの問い
内製か外部かを決める前に、次の3つを自問することをお勧めします。
- 自社が伝えるべきブランドの軸は、すでに言語化されているか
- 経営者自身が、発信の当事者として時間を割く覚悟があるか
- 発信を「継続」させる社内体制(人員・レビュー体制)はあるか
この3つに明確に答えられないうちに内製・外部いずれかを選んでも、遠からず同じ壁にぶつかります。逆に言えば、この3つが整理されていれば、内製・外部・その組み合わせのどれを選んでも、機能する確率は上がります。
CxDが考える「内製と外部の両立」
CxD Branding Studioでは、広報を「内製か外部か」の二択ではなく、機能ごとに設計するべきものと捉えています。戦略設計とブランドの軸づくりは伴走しながら固め、実務運用や一次情報の発信は、経営者・現場が主体を持てる形に内製化していく——この順序を意識することが、遠回りをしない一番の近道です。
私たちがブランディングを「ロゴやデザインの制作」ではなく「経営そのもの」として捉えている理由については、CONCEPTページで詳しく解説しています。また、実際の支援内容はSERVICEページ、内製化を見据えた伴走支援の実例はCASEページでご覧いただけます。
自社にとって内製と外部のどちらが、あるいはどんな組み合わせが適切か——判断に迷う場合は、一度お話を伺いながら整理することをお勧めします。
